社会関係資本の大切さについて
ピエール・ブルデューは,人間の持つ資本を,「文化資本」,「経済資本」,「社会関係
資本」の3つに分類した.個人が資本の向上を目指すとき,一般に,目に見えやすい,「文化資本」や「経済資本」に着目しがちである.個人の努力により手に
入るものであり,評価値がある程度定量化されているため,扱いやすいからである.このため,見落とされがちな「社会関係資本」であるが,実は様々な場面で
大きな意味を持つ.
例えば,いい企業に就職して,「文化資本」を得る場合を考える.ある人は,就職活動を通じて出会った人に,アドバイスを受けるかもしれない.ま た,ある人は,親戚のコネを使って内定までこぎつけるかもしれない.「経済資本」を得る場合を同様に考える.ある営業マンは,親密になった営業先の重役か ら,大きな契約をもらうかもしれない.また,ある起業家は,飲み屋で出会った人から,ビジネスチャンスをもらうかもしれない.